阿武町の中心奈古地区の、かつては「奈古銀座」と呼ばれ栄えていた奈古本町通り。
今は無くなってしまったけれど、そこにはたくさんのお店や歴史や人々の思い出がありました。
そんな今はない昔の姿を遺そうと、阿武町集落支援員が企画して始まった「暮らしの記憶繪圖」という一風変わったマップのイラスト・パンフレットデザインをさせていただきました。
▼暮らしの記憶繪圖(えず)とは
「今は面影もないけどね」と少し寂しそうに話す町の人たち。
かつてにぎわっていた頃を語る時、その眼は輝き始めます。
この町の人たちが語る暮らしの歴史をこの繪圖に遺しました。
▼
昔の姿を知る方々にインタビューをし、昔の写真を集め、集まったエピソードはどれもほっこりするものばかり。
古い記憶が綴られた巻物のように、当時の記憶を紐解いていくパンフレットの開き方の構成も提案し、本物の古地図を参考にした色使いなど細部にもこだわっています。
これを手にいまの奈古を見渡してしてみれば、昔のままのところと変わったところなど、話が弾む【まちあるきツール】としても使えるようになっています○
どんどんと時間の流れが早くなり、古いものが忘れ去られてしまうことも多くなってきた昨今。
現在ではなく過去のまちの姿を地図に落とすという、このような形でみなさんの思い出を遺すお手伝いができたことは、「マップづくり」という手法の新しい可能性を見たようで、私たちとしてもとても嬉しい時間でした◎
------
そしてこのマップには後日談があり、
その後に「こんなお店もあったよ」「こんなこともあった」とさらにどんどん出てくるたくさんのお話。
それらを再度丁寧にヒアリングし、他の人の記憶とも照らし合わせながら、情報をギュギュギュッと追加して、ついに完成版として町民のみなさん全戸に配ることができました◎
早速これを見た町の方も、「これがあったらいろんなことを思い出せるし懐かしい、嬉しい。ありがとう」とすごく喜んでくださったそうで
今はもう写真などもあまり残っていない昔のことを、イラストやデザインに落とし込んで可視化するという、単なるマップの役割を超えた価値が生まれたことに
わたしたちもとても嬉しく思ったのです。
この繪圖が、おじいちゃんおばあちゃんからお孫さんまで、世代を超えたコミュニケーションが生まれるきっかけになれば幸いです◎
↓こちらが完成版。
上に載せた初期版との間違い探しも楽しめそうですね。